かなり気がかりな日本語 (集英社新書)
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この商品の感想
大学で日本語講師をしている著者の、特に今の若者ことばに苦言を呈する一書である。本書の目指すのは、最近の日本語とコミュニケーションについて考える材料を提供することであるようだ。
敬語や慣用句は間違って使われている。「剣もほろろ」を「剣がぼろほろ」の意味と誤解している者がいる。「腑に落ちない」と否定形で使うのが普通だが、「腑に落ちる」と使うようになっている。身内には謙譲語で使うべきところを尊敬語を使って平気である。ペットは「死ぬ」でいいはずだが、「亡くなる」と(思いいれ深く?)使う。「食べれる」「見れる」が普通になってきている。
そこで、日本語力を高めるためのトレーニング方法を提案している。
(1)観察する力、聞く力、気づく力をつける。間違いに気づくために、人と同じ過ちを犯さないために。
(2)ラジオを聴く。この音声情報は、語彙の拡充と日本語の観察にきわめて有効である。
(3)書物や新聞を音読する。この文字情報は想像力と思考力を鍛えてくれる。
(4)目を見て、笑顔で話す。フランス語の教師でもある著者は、フランス人の日本人評を紹介する。日本人の顔は「内心の読み取れない無表情な顔」と。
言い掛かり的レビュー
気がかりな日本語に出会うと、何が原因で気がかりな日本語になってしまうのか、どういう風に言い(書き)換えればいいのか、を考えるのだが答えが見つからず、隔靴掻痒の感が増すばかりと言うケースが非常に多い。
それに対する普遍的な処方箋が見つかれば、と思って本書を購入したのだが、残念と言うべきか、当然と言うべきか、そんな処方箋は提示されていない。体系的に問題を指摘し解決策を示そうとはせず、著者の気にかかる日本語関連のエッセイを寄せ集めたと言う感じである。
著者の指摘していること自体はどれももっともだと思う。特に「腑に落ちる」に感じる違和感の理由の説明などは見事である。
(タイトルは「かなり気がかりな日本語」のみなので、処方箋が示されなくとも、エッセイ集だったとしても文句を言える筋合いでないことを十分認識した上でのレビューです。)
日本語は楽しいっ?!(;'Д`)ハァハァ
(;'Д`)ハァハァ 本当に気がかりな昨今の若者日本語事情。
言葉は変化するものであるとはいえ、このところの変わり様は
「変化」を通り越して「退化」では、とさえ おいらは思っていた。
この書で著者は、間違ったおかしな言葉遣いに批判を加えるのみならず、
その背後にあるものの分析から言語のトレーニング法まで論を及ぼしている。
このあたり、単に若者言葉を批判しっぱなしのあまたの出版物とは
趣向が異なるやうである。
若者だけではない。テレビラジオの言葉、新聞の見出し等々も同様。
是非、10代の非読書好き若者に読んで欲しい。(読むわけないと思うが)
おいらのやうに正しい日本語を使いながら、なおかつ個性の出る
喋り方を心がける事も大切である。
日本語の面白さ、難しさ再発見!
日本語・フランス語教師である著者が、日本語を外国人留学生に、フランス語を日本人学生に教えている経験から、気になる日本語(特に敬語)の誤用とどのように使えばいいのかを解説していました。
書店で売られている敬語関連書の多くが、英語のイディオムを掲載した参考書のように「誤った使い方→正しい使い方」に重点を置き、なぜ間違っているのかには言及していない本が多いのですが、本書では著者が日常的に気になる日本語の使い方を具体的に紹介した上で、それがなぜ間違っているのかを詳細に分析しているので、信憑性が高く納得のいくものになっていました。
特に留学生に教える日本語と日本人の若者が使う表現の違いの解説は興味深かったです。
また、敬語の使い方のみならず、言葉遣いによってコミュニケーションが心のこもらない空虚なものになってしまうという部分では、「なるほど」と感心する部分が多かったです。
おもしろいけど、ぞ〜っとする
読んでいて本当に怖くなる本でした。敬語の誤用もマニュアル応答も気味悪いけれど、ほんとうに怖いのは、その背後にある言葉への、ひいては他者への無関心だということがわかります。身近なところでひんぱんに起きているコミュニケーション不全にどんどん目が見開かれていく感じです(この表現も実は変?)。中島義道の「<対話>のない社会」を読んだ時の危機感と似ているかも。
「言葉の退化」ということについて考えさせられました。1億以上の人間が母語として使ってたら退化なんてありえないと思っていたけど、そうじゃないようです。何もかも「ただの変化だよ」とタカをくくってのんびりしてたら、日本語は、というより日本人は、とんでもないことになっちゃう気がした一冊でした。ああ怖かった。
