日本語教師養成教材>日本語の奇跡―〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明 (新潮新書 244)
日本語の奇跡―〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明 (新潮新書 244)
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この商品の感想
信頼性に疑問
本書全体を通じて,文字と音韻,文字と言語,言語と民族・国家・地域を混同した記述が目につくのが気になります。
広く合意が得られているわけではなさそうなことが断定調で書かれています。
たとえば,膠着語は借用語率が非常に高いとし,そうした膠着語が結果的に文明と文明をつなぐ架け橋の役割を果たしてきた,としています(序章)。借用語の多さは,文法構造よりも歴史的事情(征服など)によるところが大きいのではないでしょうか。ペルシア語は屈折語ですが,極めて大量のアラビア語を含んでいます。本書のテーマである日本語は,文明の架け橋になったでしょうか? フィンランド語は?
「キ」の甲類/乙類の違いを「音韻の違い」と書いておきながら,帰化人には聞き分けられたが,日本語ネイティブにはどうでもよかった(第六章),というのは矛盾しているようです。(ネイティブに分かるオトの違いが音韻の違いなので)
肝心の仮名の誕生の説明でも,伝来した漢字からどうにかして表音文字を作ろうとして,平仮名と片仮名が誕生したかのように書かれていますが(第七章),漢字の形をそのまま利用した表音文字である真仮名の段階がすっぽり抜けています。(第三章では万葉仮名が説明されているのに)
サンスクリット語の子音から日本語に存在しない子音を除いたものが「あまりにも日本語の発音とは違いすぎている」(第十章)というのも意味不明です。
どうも,専門外の分野の著作に手を出してしまった本という印象が拭えません。
終章で「〈いろは〉と〈アイウエオ〉の両輪によって情緒と論理の言語的バランスをとることができるこのような仕組みの言語は,日本語以外にはないだろう」とし,「我々はそうした素晴らしい日本語の世界に生きているのである」と結んでいるのは,ある種の人々を喜ばせるでしょうが,私には理解できませんでした。
昔の辞書は「いろは」順だったそうです
「あいうえお」から始まる五十音表記は子音と母音とが整然と並んでいるように思えます。が、ヤ行やワ行の欠損、あるいは「はを」を「わお」と発音することに疑問を持った方も多いのではないでしょうか。そんな疑問を解明してくれるのが本書です。
漢字を輸入し、それを自国の文化に取り入れていく過程がしっかりと理解できます。
そして「いろは」順に記載されていた辞書が、文法的な活用といった理論に従い、五十音に変わっていく必然性がよく理解できます。
あとがきにはいろいろと「案」が提示されていますが、「〈アイウエオ〉と〈いろは〉」という本書の題名は読後感そのものでした。
やや食い足りない
「書き足りない・・・・・・。稿を終えての思いはそれに尽きる」・・・と著者は「あとがき」で
書いています。では、「物足りない・・・・・・。読み終えての思いはそれに尽きる」・・・そう
私は書きましょう。
世界に冠たるカタカナとひらがなの誕生物語ということで、とても期待してわくわくしなが
ら読みました。ところが。
カタカナとひらがなが「なぜ」誕生せねばならなかったのか、そこのところはある程度書き
込まれていてまずまず納得がいったのですが、もうひとつの、より大きな興味であるところ
の「どのように」誕生したのかということについての記述がいかにも不足しています。
また興味津々の「いろは」の誕生についても、「あれ?」と思うくらいさらっとした記述で
肩透かしをくらいました。
唯一面白かったのは、五十音の配列が完成するまでの物語。私たちには当たり前と思われて
いる「"い""え""お"があ行で、"ゐ""ゑ""を"がわ行」ということが全然当たり前ではなく、
長いこと国語学上の謎であり、それを解決したのがあの本居宣長であるという事実には「へ
え〜」となりました。さらには、その本居宣長の解決法の見事さにうならされました。やは
り宣長は天才なのだなあ。宣長の伝記が読みたくなりました。
日本語表記の歴史
世界に稀な複雑な表記体系をもつ日本語。その表記体系の歴史を文化史に位置づけて、わかりやすくその流れを説いているのが本書である。
初学者にもわかりやすいように歴史上の事件や人物、文献について詳しく説明がなされており、文体も丁寧である。イロハや五十音順に代表される日本語のシステムがいかに先人によって整理されてきたか学ぶことができる。
あとがきにも挙げられているが、より高度な専門的な内容を求めるならば平凡社ライブラリーの「日本語の歴史」が薦められる。
本書全体を通じて,文字と音韻,文字と言語,言語と民族・国家・地域を混同した記述が目につくのが気になります。
広く合意が得られているわけではなさそうなことが断定調で書かれています。
たとえば,膠着語は借用語率が非常に高いとし,そうした膠着語が結果的に文明と文明をつなぐ架け橋の役割を果たしてきた,としています(序章)。借用語の多さは,文法構造よりも歴史的事情(征服など)によるところが大きいのではないでしょうか。ペルシア語は屈折語ですが,極めて大量のアラビア語を含んでいます。本書のテーマである日本語は,文明の架け橋になったでしょうか? フィンランド語は?
「キ」の甲類/乙類の違いを「音韻の違い」と書いておきながら,帰化人には聞き分けられたが,日本語ネイティブにはどうでもよかった(第六章),というのは矛盾しているようです。(ネイティブに分かるオトの違いが音韻の違いなので)
肝心の仮名の誕生の説明でも,伝来した漢字からどうにかして表音文字を作ろうとして,平仮名と片仮名が誕生したかのように書かれていますが(第七章),漢字の形をそのまま利用した表音文字である真仮名の段階がすっぽり抜けています。(第三章では万葉仮名が説明されているのに)
サンスクリット語の子音から日本語に存在しない子音を除いたものが「あまりにも日本語の発音とは違いすぎている」(第十章)というのも意味不明です。
どうも,専門外の分野の著作に手を出してしまった本という印象が拭えません。
終章で「〈いろは〉と〈アイウエオ〉の両輪によって情緒と論理の言語的バランスをとることができるこのような仕組みの言語は,日本語以外にはないだろう」とし,「我々はそうした素晴らしい日本語の世界に生きているのである」と結んでいるのは,ある種の人々を喜ばせるでしょうが,私には理解できませんでした。
昔の辞書は「いろは」順だったそうです
「あいうえお」から始まる五十音表記は子音と母音とが整然と並んでいるように思えます。が、ヤ行やワ行の欠損、あるいは「はを」を「わお」と発音することに疑問を持った方も多いのではないでしょうか。そんな疑問を解明してくれるのが本書です。
漢字を輸入し、それを自国の文化に取り入れていく過程がしっかりと理解できます。
そして「いろは」順に記載されていた辞書が、文法的な活用といった理論に従い、五十音に変わっていく必然性がよく理解できます。
あとがきにはいろいろと「案」が提示されていますが、「〈アイウエオ〉と〈いろは〉」という本書の題名は読後感そのものでした。
やや食い足りない
「書き足りない・・・・・・。稿を終えての思いはそれに尽きる」・・・と著者は「あとがき」で
書いています。では、「物足りない・・・・・・。読み終えての思いはそれに尽きる」・・・そう
私は書きましょう。
世界に冠たるカタカナとひらがなの誕生物語ということで、とても期待してわくわくしなが
ら読みました。ところが。
カタカナとひらがなが「なぜ」誕生せねばならなかったのか、そこのところはある程度書き
込まれていてまずまず納得がいったのですが、もうひとつの、より大きな興味であるところ
の「どのように」誕生したのかということについての記述がいかにも不足しています。
また興味津々の「いろは」の誕生についても、「あれ?」と思うくらいさらっとした記述で
肩透かしをくらいました。
唯一面白かったのは、五十音の配列が完成するまでの物語。私たちには当たり前と思われて
いる「"い""え""お"があ行で、"ゐ""ゑ""を"がわ行」ということが全然当たり前ではなく、
長いこと国語学上の謎であり、それを解決したのがあの本居宣長であるという事実には「へ
え〜」となりました。さらには、その本居宣長の解決法の見事さにうならされました。やは
り宣長は天才なのだなあ。宣長の伝記が読みたくなりました。
日本語表記の歴史
世界に稀な複雑な表記体系をもつ日本語。その表記体系の歴史を文化史に位置づけて、わかりやすくその流れを説いているのが本書である。
初学者にもわかりやすいように歴史上の事件や人物、文献について詳しく説明がなされており、文体も丁寧である。イロハや五十音順に代表される日本語のシステムがいかに先人によって整理されてきたか学ぶことができる。
あとがきにも挙げられているが、より高度な専門的な内容を求めるならば平凡社ライブラリーの「日本語の歴史」が薦められる。
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