「生活保護VSワーキングプア (PHP新書 504)」の紹介
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生活保護VSワーキングプア (PHP新書 504)


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この商品の感想

社会問題への関心がある方には必読の一冊
「本書は、出版会では珍しいとされる、著者による企画持ち込みという形で世に出ることになりました」とある。とにかく、書かずにはいられなかったのだろう。

筆者は、ケースワーカーとして生活保護にかかわった。その後、児童相談所に勤務。そして、生活保護家庭には、虐待、経済的困窮などの問題に直面して苦しんでいる子供達がたくさんいることを知る。子供の面倒を見たくともできないパートの掛け持ちに追われる母子家庭の母親の苦しい実態も明らかにされる。そしてそのような親子は自分達の力だけでは「負の連鎖」から抜けられない悲惨な姿に気づく。本書には、筆者による分析と共に「自己責任」と言われて、資本主義社会の崖っぷちに追いやられた人々の苦しい実態が例を挙げて説明されている。いくつかの事例については、まともな感情を持っている人が気持ちを全く動かさずに読み進めるのが難しいかもしれない。

生活保護の対象となる人々には2つのグループがある。ひとつ目は貧困の高齢者と重度障害者。これらの人々に生活保護の手が差しのべられることについて異論のある方は少ないだろう。問題は、それ以外のケース、特に働ける年齢にありながら様々な問題に直面している人々の支援をどのようにするかである。

筆者は、この働ける年齢でありながら貧困の罠にはまって苦しんでいるグループに属する人たちに対して、「自立のための支援メニューの増加」と、住居費など一部を時限的に支援する「ぷち生活保護」を受けやすくすることによって「貧困の連鎖」を断ち切り、立ち直りの支援を与える必要性を訴える。また、「自立率」と「放置したときのコストを計算して削減する」という数値目標を導入して改善を図ることを提案している。ケースワーカーの地位向上の必要性、生活保護に対する誤まった報道や社会の誤解を正すことにも力を入れて説明している。

タイトルの付け方にもう少し工夫が欲しかった点が惜しまれるが、社会問題への関心がある方には必読の一冊である。

正しい生活保護の知識
実際に生活保護のケースワーカーをなさっていた方の著書です。

恥ずかしながら、
私の生活保護についての知識は「悪いイメージ」のみでした。
生活保護を受けるような環境になっているのは、
結局は自分が選んだ結果じゃないか、と。

しかし序章から著者が書いているように、
個々人がどうにかできる範疇を越えてしまっていては
どうにも出来ないことが沢山あってもしょうがない。
私の中に、こんなにも偏見があるのか、と驚いてしまいました。
また、著者の方が言う今後の改善策が実際に行なわれたとすれば
本当に受給者・ケースワーカー双方が良い方向に進められると思います。

忘れてはならないこと。
健康で文化的な最低限の生活を守る義務が、国にはあります。
このままじゃいけない、という漠然とした不安は皆が感じています。
どうにかしなければいけない、もまた、皆が感じています。
私が直接政治に触れることはないけれど、
少しでも生活保護制度と受給者・その周辺を理解するうえで
偏見をなくし、本質を見抜くきっかけになれば
結果良い方向に動くのでは、と思いました。
そのためにも、こういう本を周りの方々に薦めたいと思います。


ミクロの努力には限界がある
単に生活を扶助するだけでなく、自立を助長することが生活保護の使命であるという著者の主張は説得力がある。しかし・・・だ。いくら多くの専門家を投入し、予算を使っても、日本経済のマクロ的な低迷の下では、できることは限られるのではないだろうか。著者がしていることは徹底的にミクロの工夫であり、それでは自ずから限界があると言わざるをえない。社会全体が豊かにならなくては、福祉予算の捻出もままならない。

視野の広い著者です
著者は30台の公務員の方だそうです。

 おもしろいタイトルが付けられていますが、内容は決して両者が戦うといったものでは無いです。何かとイメージの悪い生活保護の実態を、現場を経験し、今は児童福祉を担当している立場から述べた本です。

 端的に内容を書くと、今の若い世代を、流動性が高く、安価な労働力として浪費すると、彼らが四十台になった頃、生活保護が激増する、と警鐘を鳴らしている本です。
 また、子育て世代がワーキングプアとして子供に充分な環境を与えられないくらいなら、生活保護をしっかり活用して、将来の社会的コストを軽減すべきだ、とも述べておられます。

 これは、生活保護行政だけ担当していては、わからないそうです。

 ちなみにこの本、巻末のあとがきによると持ち込み企画らしいです。
 頭が下がります。

タイトルが良くない
「生活保護VSワーキングプア」という、扇情的というか、いかにも大衆ウケを狙ったタイトルが内容の良さをスポイルしていると思います。出版社の方に決められたタイトルなのでしょうね。
単純な現状分析でもなく、大衆にも既存システムにも迎合しない著者の良心と愛が込められた「作品」です。著者は、これまで特に生活保護というシステムを意に介さなかった自分自身を恥じるほどに真摯に生活保護をとおした日本経済と向き合っておられます。
マスメディア論の研究にも役立つ一冊だと思います。

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